日々の経営において、数字はとても大切な羅針盤です。
その数字を扱う会計には、大きく分けて「財務会計」と「管理会計」の二つがあることをご存知でしょうか?
今回は、この二つの会計の違いと、特に経営者にとって重要な「管理会計」の必要性について、分かりやすく解説していきます。
1.財務会計とは?
誰のための会計?
財務会計の役割と特徴
2. 管理会計とは?
経営者のための会計
管理会計の役割と特徴
3.財務会計と管理会計の主な違い
目的、対象期間、報告頻度、法的規制
4.なぜ管理会計が必要なのか?
迅速な経営判断、収益性向上、予算管理効率化、部門別業績評価
5.管理会計導入のメリット
問題点の早期発見、的確な価格設定、経営戦略の立案、従業員の意識向上
6.管理会計導入のポイント
必要な情報の見極め、シンプルな仕組みから、定期的な見直し
7.まとめ:中小企業こそ管理会計を
誰のための会計?
財務会計とは、主に企業の「外」に向けて情報を発信する会計です。
具体的には、株主、取引先、金融機関など、企業の外部にいる利害関係者に向けて、企業の経営成績や財政状態を報告します。
財務会計の役割と特徴
財務会計の主な役割は、企業の活動を数値で示し、その透明性を確保することです。 そのために、以下の様な特徴があります。
・法令に基づく統一的な基準
会計ルールは法律で定められており、すべての企業が同じ基準で財務諸表を作成します。
・客観性と正確性の重視
誰が見ても同じように解釈できるよう、客観的で正確な情報を記録します。
・過去の取引実績の記録
過去に発生した取引を記録し、その結果をまとめます。
・決算書類の作成
貸借対照表や損益計算書といった、決まった決算書類を作成します。
・定期的な報告義務
企業の規模や種類に応じて、決算書類を定期的に外部へ報告する義務があります。
つまり、財務会計は、過去の経営成績や財政状態を正確に記録し、
外部に報告するための「通信簿」のようなものと言えるでしょう。
経営者のための会計
管理会計は、企業の「内」に向けて情報を発信する会計です。
経営者や管理者が、会社の現状を把握し、より良い経営判断や意思決定を行うための情報を提供します。
管理会計の役割と特徴
管理会計の主な役割は、企業の「現在」と「未来」を分析し、経営戦略の立案や実行をサポートすることです。
そのために、以下の様な項目に焦点を当てます。
・収益性の分析: どの商品やサービスが利益を生み出しているのかを分析します。
・原価計算: 製品やサービスを作るのにどれくらいの費用がかかっているのかを計算します。
・予算管理: 会社全体の目標を数値で定め、計画通りに進んでいるか管理します。
・資金繰り計画: お金の流れを把握し、資金不足にならないように計画します。
・業績評価: 部門や店舗ごとの業績を評価し、改善点を見つけます。
・将来の経営計画策定: 将来の目標を設定し、それを達成するための計画を立てます。
管理会計は、過去のデータを基に現状を把握し、将来の経営判断に役立つ情報を提供する「羅針盤」のような役割を果たします。
このように財務会計と管理会計は、目的や役割が大きく異なります。
ここでは、主な違いを4つのポイントに分けて解説します。
目的の違い
・財務会計: 外部への報告(企業の透明性確保)
・管理会計: 内部の意思決定支援(経営判断の質の向上)
対象期間の違い
・財務会計: 過去の実績(過去の結果の記録)
・管理会計: 過去・現在・将来(将来を見据えた計画)
報告の頻度
・財務会計: 年次決算が基本(年に一度の報告)
・管理会計: 必要に応じて随時(月次・週次など柔軟な対応)
法的規制
・財務会計: 法令による規制あり(統一的な基準)
・管理会計: 法的規制なし(自社に適した方法を自由に選択)
財務会計は、企業の過去の結果を示す重要な情報ですが、それだけでは経営判断には不十分です。
ここでは、管理会計がなぜ必要不可欠なのかを4つの視点から解説します。
迅速な経営判断のため
経営判断には、現状の把握だけでなく、将来の予測も重要です。管理会計は、未来を見据えた情報を提供し、迅速かつ的確な経営判断をサポートします。
収益性の向上のため
管理会計は、どの商品やサービスが利益を生み出しているのかを分析できます。これにより、注力すべき分野や改善すべき点を見つけ、収益性を向上させることができます。
予算管理の効率化のため
将来の収支を予測し、計画的な経営を行うためには、管理会計の仕組みが欠かせません。予算と実績を比較することで、経営課題を早期に発見し、対策を講じることができます。
部門・店舗別の業績評価のため
企業が成長するにつれて、部門や店舗ごとの採算管理が重要になります。管理会計を活用することで、各部門や店舗の業績を適切に評価し、改善策を考えることができます。
管理会計を導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、特に重要な4つのメリットについて解説します。
問題点の早期発見
月次や週次での細かな分析により、経営上の問題点を早期に発見し、迅速に対策を講じることができます。
的確な価格設定
製品やサービスの原価を正確に把握することで、適正な価格設定が可能になり、利益を最大化できます。
経営戦略の立案
将来予測に基づいたデータ分析により、より効果的な経営戦略を立案し、企業の成長を加速させることができます。
従業員の意識向上
数値目標を明確にすることで、従業員の目的意識や当事者意識が高まり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
管理会計は、自社に合った形で導入し、継続的に改善していくことが重要です。ここでは、導入の際に注意すべき3つのポイントを解説します。
必要な情報を見極める
すべての情報を網羅的に収集する必要はありません。自社にとって本当に必要な情報、重要な情報は何かを見極めることが重要です。
シンプルな仕組みから始める
最初から複雑なシステムを導入する必要はありません。まずは基本的な管理から始め、徐々に発展させていくことをお勧めします。
定期的な見直し
経営環境の変化に合わせて、管理会計の仕組みも適宜見直していく必要があります。常に最適な状態を維持できるよう、定期的な見直しを行いましょう。
財務会計と管理会計は、それぞれ異なる目的を持つ会計システムですが、どちらも企業経営には欠かせない要素です。
特に管理会計は、経営者の皆様が適切な判断を行うための重要なツールとなります。
中小企業の経営において、法令で定められた財務会計はもちろんのこと、まずは自社に合った形で管理会計を導入し、
徐々にその精度を高めていくことをお勧めいたします。
それにより、より戦略的な経営判断が可能となり、企業の成長を力強く後押ししてくれるでしょう。
当事務所では、お客様の事業内容を理解した上で、それぞれにあった管理会計の導入をご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。
ご相談、ご依頼は、申込フォーム 又は、電話(0463-59-9036)にて、お願いします。